年長組の集会では、毎日当番がみんなの前で一人縄跳びをやります。
【エピソード1】
Aちゃんがみんなの前で跳ぶ順番になりました。
Aちゃんはまだ両足で縄跳びを跳ぶことが難しいけれども、前のめりになりながら必死に跳ぼうとしていました。
その姿を見ている子どもたちからは「Aちゃん、その用意じゃ跳べないよ。こうやって用意するんだよ」「ねえ、Aちゃん」と教えてあげようとする子も。
保育者の「教えてあげる気持ちもいいけど、まずはAちゃんが跳ぶのを見よう」という声かけで、一気に子どもたちの視線がAちゃんの方に向いたように感じます。
そして、Aちゃんが両足で10回跳べた時、今までで一番大きい拍手がなりました。
「Aちゃん、頑張ってたね」「すごいね」と言う声も。
Aちゃんの顔にも笑顔が見えました。
保育者の学び
一生懸命、自分なりに諦めず跳んでいたAちゃん。
教えてあげようと友だちの姿をちゃんと見ている子、静かだけど、しっかり友だちの跳ぶ姿を見ている子。そして、頑張った友だちに拍手を送れるみんなが素晴らしいなと思いました。
【エピソード2】
集会の時間に、一人縄跳びをしたBくん。まだあまり跳べないBくんでしたが、なんとか頑張って3回跳ぶことができました。
Bくんが跳んでいる間、みんなはじっとBくんを見ていました。
3回跳べたBくんに保育者が「頑張ったね、Bくん。練習をするともっと跳べるようになるよ」と声をかけました。
みんなからも「頑張ったね!」という言葉とたくさんの拍手。気が付くとBくんは、涙を拭っていました。
「Bくん、涙が出ちゃったね」と保育者が言うと、園児たちからは「Bくん、悔しかったのかな?」「もっと跳びたかったのかな?」
Bくんがどんな気持ちなのかを考えられる力が育っています。
保育者の学び
Bくんが「跳べないから跳ばない」と縄跳びをしないのではなく、挑戦した姿が立派でした。
Bくんの跳べない姿を見せるのではなく、跳べるようになってから皆の前に立たせたらどうか? という考えもあるかもしれません。
しかし、保育者の心の中は(どんなBくんでも受け止めるから、跳んでみてね)という気持ちです。子どもたちも(跳び方を教えてあげたい)(一緒に練習しよう)という気持ちの子がたくさんいたように思います。
Bくんは、縄跳びを跳べない自分を見られることに抵抗はあったはずです。しかし、その日から縄跳びの練習を始めました。素敵だなと思います。
その次にBくんの次の当番縄跳びの順番が回ってきた時、Bくんはたくさん跳べるようになっていました。お家で練習をしたり、幼稚園で友だちと一緒に練習をしていた成果でした。
保育者が言わなくても「Bくん跳べてる」「前は3回だったよね」「すごい、Bくん」と、以前とは違うBくんの変化を認める子どもたちの言葉がありました。
年長組は、このように友だちのありのままの姿を見て、認め合える集団になっています。また、Bくんのように諦めずに頑張ることができる子がたくさんいます。