新小岩幼稚園

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学びの事例・エピソード
年少組担任
「仲間がいるよ」

更新日 : 2022年9月28日

新小岩幼稚園には各保育室にセキセイインコとカメがいます。
2学期に入り愛着が湧きはじめたようで、お世話をしたがる子が増え、自分から「インコさんにエサあげる」「カメさんをごしごししてあげる」と積極的にお世話をしています。

そんなある日、いつもエサをあげるとすぐに食べにくるインコが、今日はエサをあげても寄って来ません。
不思議に思った女の子が朝の集会の時間に「今日はインコさんがエサを食べなかった」と皆に教えてくれました。
それを聞いた子どもたちは、セキセイインコの方を向いて、「どうしたんだろう」と食べない理由を考え始めました。
「お腹が空いてなかった」「違うのを食べたかった」と様々な言葉が出ましたが、その中で「雷が怖かったんじゃない?」と言う男の子の発言に注目が集まりました。
その日はちょうど台風14号が列島を直撃した後の連休明けでした。
それぞれが登園した時に、「雷が鳴ったよ。」「ピカって光ったの見た!」「寝る時に風がうるさかった」「ゴロゴロって音が怖かった」と自分たちにとっても怖い体験だったからか、「インコさん一人で怖かったね」「かわいそう」という言葉が聞かれました。
その後、一人の男の子が「あ!一人じゃないよ。仲間がいるよ」と気付いて声をあげました。
保育者が「それは誰?」と聞くと、「カメさん!」と答えました。「雷の日はインコさんとカメさんが一緒にいたから大丈夫だったってこと?」と聞くと、他の子も「そうだよ~!」「一緒でよかったね!」。

保育者の学び 子どもは大人が考えもしないようなことを考えるのだなと感じました。また、それをクラスの皆で共有すると、よりいろんな想いを生むことになり楽しかったです。
また、セキセイインコの立場になって皆で考えることができるのは、自分たちがお世話をしていたインコさんだからこそできたという事と、自分たちも同じ体験をしたからそういう言葉が出てくるのだと思います。
優しいクラスの皆がとても素敵だなと感じた日でした。
年長組担任
「お当番の一人縄跳び」

更新日 : 2022年8月27日

年長組の集会では、毎日当番がみんなの前で一人縄跳びをやります。

【エピソード1】
Aちゃんがみんなの前で跳ぶ順番になりました。
Aちゃんはまだ両足で縄跳びを跳ぶことが難しいけれども、前のめりになりながら必死に跳ぼうとしていました。
その姿を見ている子どもたちからは「Aちゃん、その用意じゃ跳べないよ。こうやって用意するんだよ」「ねえ、Aちゃん」と教えてあげようとする子も。
保育者の「教えてあげる気持ちもいいけど、まずはAちゃんが跳ぶのを見よう」という声かけで、一気に子どもたちの視線がAちゃんの方に向いたように感じます。
そして、Aちゃんが両足で10回跳べた時、今までで一番大きい拍手がなりました。
「Aちゃん、頑張ってたね」「すごいね」と言う声も。
Aちゃんの顔にも笑顔が見えました。

保育者の学び 一生懸命、自分なりに諦めず跳んでいたAちゃん。
教えてあげようと友だちの姿をちゃんと見ている子、静かだけど、しっかり友だちの跳ぶ姿を見ている子。そして、頑張った友だちに拍手を送れるみんなが素晴らしいなと思いました。

【エピソード2】
集会の時間に、一人縄跳びをしたBくん。まだあまり跳べないBくんでしたが、なんとか頑張って3回跳ぶことができました。
Bくんが跳んでいる間、みんなはじっとBくんを見ていました。
3回跳べたBくんに保育者が「頑張ったね、Bくん。練習をするともっと跳べるようになるよ」と声をかけました。
みんなからも「頑張ったね!」という言葉とたくさんの拍手。気が付くとBくんは、涙を拭っていました。
「Bくん、涙が出ちゃったね」と保育者が言うと、園児たちからは「Bくん、悔しかったのかな?」「もっと跳びたかったのかな?」
Bくんがどんな気持ちなのかを考えられる力が育っています。

保育者の学び Bくんが「跳べないから跳ばない」と縄跳びをしないのではなく、挑戦した姿が立派でした。
Bくんの跳べない姿を見せるのではなく、跳べるようになってから皆の前に立たせたらどうか? という考えもあるかもしれません。
しかし、保育者の心の中は(どんなBくんでも受け止めるから、跳んでみてね)という気持ちです。子どもたちも(跳び方を教えてあげたい)(一緒に練習しよう)という気持ちの子がたくさんいたように思います。
Bくんは、縄跳びを跳べない自分を見られることに抵抗はあったはずです。しかし、その日から縄跳びの練習を始めました。素敵だなと思います。
その次にBくんの次の当番縄跳びの順番が回ってきた時、Bくんはたくさん跳べるようになっていました。お家で練習をしたり、幼稚園で友だちと一緒に練習をしていた成果でした。
保育者が言わなくても「Bくん跳べてる」「前は3回だったよね」「すごい、Bくん」と、以前とは違うBくんの変化を認める子どもたちの言葉がありました。
年長組は、このように友だちのありのままの姿を見て、認め合える集団になっています。また、Bくんのように諦めずに頑張ることができる子がたくさんいます。
年長組担任
「トマト、少し好きになってきた」

更新日 : 2022年8月22日

合宿先での夕食をみんなで食べていた時のことです。

K 「トマト嫌いなんだけど、食べてみようかな……」
保育者 「いいね、頑張って!」
K 「トマト食べられたよ!」
  「トマト嫌いだったけど、1口食べたら食べた瞬間じゅわってして、すっぱくておいしかった!トマト少し嫌いだけど少しおいしかった!」
  「トマト少し好きになってきた!」

保育者の学び 日頃、給食のおかずを見て、「これは固そうだから残してもいい?」と聞く事があります。
K君が自分から「食べてみようかな」と意識に変化を起こし、食べ終えて、嬉しそうに「食べられたよ!」と教えに来てくれる姿が嬉しく印象的でした。
合宿で皆で同じご飯を食べているという雰囲気の中、今日は、と思ったのかなと考えました。嫌いな食べ物にも自分から挑戦したこと、食べた後の「少し好きになってきた」という言葉が素敵だなと感じました。

年中組担任
「お当番を通して」

更新日 : 2022年8月27日

年中では、お当番の子が毎日、お部屋で飼っているカメやセキセイインコのお世話をします。
飼育を通して、お世話の仕方や生き物への関心や愛情が育つことにつながります。
お当番の子がお世話をしている時のこと。

Y (カメを抱っこしようとするが、なかなかできない)
  (友だちの所に行き)「手伝って!」
T 「何を?」
Y 「カメさん抱っこするの手伝って」
T 「T、抱っこ出来るよ」(抱っこして、カメのお家に戻す)
Y 「ありがとう」
T 「どういたしまして」
保育者 「T君、カメさん抱っこするの上手だね!どこを持って抱っこしたらいいの?」
T 「手と足の真ん中の所持ったら、キックされないよ」
保育者 「手と足の間の所を持って、抱っこしてあげるとT君みたいに上手に抱っこできるんだね~!」
このあと、YちゃんはT君に教えてもらったやり方で、亀を持つことができました。
また見ていた他のお友達から「Yちゃん、抱っこできたね」と認められ、嬉しそうでした。

保育者の学び T君は、カメのお世話をしながら、どこを抱っこしたらいいのか、考えたり悩んだり、体験しながら学んでいったのでしょう。
大人がすぐに手を貸してあげたり、やり方を教えてあげることは簡単です。しかし、大人にとっては単純なことも子どもにとっては全てが発見、学びです。
困ったことに出会った時に、考えたり、やり方を発見したり、友達に教えてもらったり……
私自身も子どもと一緒に考えたり、共感したり。そういった時間をこれからも大事にしていきたいです。
年中組担任
「M君のこと待ってたよ!」

更新日 : 2022年8月22日

体調不良で休みが続いていたM君が、久々に登園しました。
Y 「あ!Mくん!まってたよ~。全然来ないからYくんさみしかったんだよ~」
M 「Mくんちょっと風邪ひいちゃったんだよ」
Y 「大丈夫だった??熱が出ちゃった?」
M 「熱は出てないよ」
Y 「は~来れてよかった。Mくんのことだいすきだからうれしいよ」
M (にっこりわらう)

保育者の学び 休み中も毎日「今日はM君来るかな?今日もお休みかな?」と気にしていたYくん。登園してきたM君を見つけてとても嬉しそうに駆け寄っていました。
M君も休み明けの登園で少し不安があったかもしれません。そんな時、仲良しのお友達が「待ってたよ!」と声をかけてくれたこと、とても心強かったと思います。
子ども同士の言葉のかけ方や、ストレートな表現で気持ちを伝えられる力、それを受けるって素敵だなと思います。私も子どもの前で素直な自分でいたいと感じています。
年少組担任
「見ること・見せること」

更新日 : 2022年8月22日

1学期もまもなく終わろうとしている7月。
当園には「音楽集会」という行事が1学期の最後にあります。
本来は全学年がホールに集まって歌やリズムを見せ合うのですが、ここ数年は2部制にして密を避けながらの取り組みとなっています。
今年も2部に分けて行いました。
年少組の子はリズムに乗って体を動かし、表現する事が体験を重ねるにつれて楽しくなってきている中での音楽集会。
お兄さん・お姉さんの歌を興味深そうに聞いている子が多く、一緒に動作を真似ていました。
自分たちのクラスの番になると、少し恥ずかしそうにホール中央に出てくる子、意気揚々と出てくる子がいましたが、ピアノの音が鳴ると楽しそうにリズム表現する子どもたちの姿がありました。

音楽集会の翌日、お兄さん・お姉さんからお手紙が届きました。
「リズム上手だったよ!また見せてね!」と書かれたお手紙を読み上げると、嬉しそうな子ども達の表情。また、自由遊びでブランコをこいで遊んでいる子が、お兄さん・お姉さんが歌っていた歌を口ずさみ始めました。
そこから周りの子にも広がって、みんなで歌いました。

保育者の学び “見せ合う”という機会は子どもにとって影響が大きい事なのだと感じました。
2学期には運動会があり、今度は大好きなお家の人に見てもらう機会があります。そういった節目の行事で、子ども達の成長のお手伝いをしたいと改めて感じました。
年少組担任
「ここにいないね」

更新日 : 2022年8月22日

午前中の自由遊びが終わり、同じグループの2人が揃ったところから今日の各グループのお当番の確認を一緒にしていました。
メロングループの2人から順番にまわり、スイカグループまできたとき、
Rくん 「コップマークのSくんおやすみ」
保育者 「本当だ~。いないね、おやすみかなあ」
Rくん (下唇を出しながら、悲しそうな表情をする)
保育者 「どうしたの?」
Rくん 「……」
保育者 「もしかして、Sくんがいなくてさみしいの?」
Rくん (うなずく)
保育者 「そっか~、Sくんいなくてさみしいよね、明日は幼稚園にくるといいね」
Rくん (うなずく)
その後、実際におやすみ調べが始まると、近くにいた保育者にSくんの椅子をみながら「ここにいないね」と声をかけていました。
また、Sくんの順番がきて保育者がマークと名前を呼ぶと、Rくんはみんなにきこえる声で「おうち、帰っちゃったのかなあ」と言う姿もみられました。

保育者の学び 今までSくんがおやすみでも何も反応のなかったRくんが、Sくんがいないことに気付き、それを言葉に出したり、自分の寂しいという思いを表情に出してくれたりしたことに驚きました。
音楽集会に向けて、二人組での活動を取り入れたことで、より机の二人でかかわる機会が増えたことがきっかけになったのだと思います。
二人組の活動が子どもたちにとって、相手の存在に気づき、相手を知ることができる、かかわりが深まっていく大切な活動であることを私自身、実感することができました。
満3歳児クラス担任
「困った時にお姉さんの助け舟」

更新日 : 2022年8月22日

H君がお砂場遊び、Y君はミニ電車遊び。
でもMちゃんは外で滑り台がしたい…
M 「Y君、お外であそぼ!」
Y 「イヤイヤ」
M 「M、お外で遊びたいのに……」
友達がちょうちょ組のシール遊びで作ったバッチを見て、作りたくてやってきた年少さんが…
年少 「先生!私、Nちゃんがやったのやりたい!(シール貼り)」
保育者 「いいよ。でもちょっと待って。Mちゃんが外で遊びたいけど遊べなくて困ってるの…」
年少 「へぇ~…Mもやる?(自分のシール遊びに誘う)」
M 「うん」
年少 「Mのところで作りたい!(Mの座席に座る)」
二人で向き合ってシール貼りでバッチを2個ずつ作る。
年少 「ねぇ、M次何やりたい?私はブランコしたいけど、Mの好きなのでいいよ」
M 「すべりだいしたい」
年少 「いいよ、じゃあ滑り台しよ!」
はじめはちょっぴり悲しい気持ちもありましたが、幼稚園にはお友達が沢山いるので嬉しい気持ちにもなります。
大きい子から気にかけてもらって愛情をもらえたMちゃんは園見学の際、小さい子に「Mおねえちゃん」と自己紹介をして、親切に根気強く接してくれていました。

保育者の学び なんとなく遊んでいたもの・こと・人が「とても楽しい」。それがあって、何度も繰り返し、遊びに取り組んでいける。
その中で「この遊びが大好き!」という自分の気持ちに気がついていくようです。
自分自身が十分に遊ぶことが一番大事。その次に貸してあげたり、貸してもらったりという関わりを持ち、今度は相手の子にも関心を持つことができるのでしょう。たくさんの偶然の出来事、出会いを通して子ども達は成長していきます。
満3歳児クラス担任
「相手を気にしながらのブランコ」

更新日 : 2022年8月22日

ブランコに乗っていたY君。
『トーマスのうた』を保育者に歌ってもらい歌が終わると…
Y 「Mのばん」
保育者 「え?Mちゃんの番なの?」
Y 「M」(離れた場所にブランコに乗っていたMちゃんを指さす)
保育者 「わかった。Mちゃんのブランコこいでくるね!」
保育者 「Mちゃん、Y君が「今度Mのばんだからブランコ漕いできて」って。だからブランコこぎに来たよ!」 M 「え?Mブランコこげるよ。」
保育者 「そうなんだけどね、きっとY君、Mちゃんとかわりばんこにブランコしたいんだと思うよ。」
M 「(笑顔で)えー、Mブランコこげるのにぃ~」
保育者 「Mちゃん、自分でブランコこげるから先生歌うだけにする?何がいい?」
M 「えっとねぇ~・・・歩こう!(トトロのうた)」
保育者 (トトロの歌を歌い終え)「じゃあ、今度Y君のところに行ってきていい?」
M 「いーいーよー」
保育者 「Y君ただいま。Mのブランコこいできたよ~」
その後、保育者がその子のリクエストの歌を1曲歌い終えると、『Mちゃん』『Y君』と言われ、2人のブランコを行ったり来たり走っていました。

保育者の学び 人との関係の中で、自分を気にかけてくれる人がいる、自分が気にかけたい人がいる、ということを感じ合えるって素敵だなと思いました。
時々けんかもする二人だからこそ、ここまで仲良くなれたと思います。ぶつかり合うことで離れていくのでなく、近づいていくことのできる心、関係性が作れる2人にたくさんのことを教わっている毎日です。
年中組担任
「インコさんはどうするの?」

更新日 : 2022年6月23日

避難訓練の練習をしていた時の出来事です。
「地震が来たらどこに隠れるのかな?」
「みんなの頭を守ってくれる防災頭巾をかぶって、外へ逃げる練習をしよう」等、前回行った時の体験を思い出したり、地震が来た時の逃げ方を確認していきました。
その時H君が
「先生、地震の時、インコさんどうするの?」と言いました。
H君の言葉を受けて、他の子も
「亀さんどうするの?」
「インコさんの防災頭巾があったら、頭守れるよね」
「カメさん一人じゃ逃げられない」と、友だちの言葉から、考えたり言葉にする子ども達の姿が見られました。

保育者の学び 避難訓練の話の中で、子ども達からこのような言葉が出てくるなんて驚きでした。
自分の命を守る事も大事、いつもお世話をしている動物も大事。誰に対しても思いやりを持ち、他者の事を考えられる優しい心をこれからも大切にしていきたいと改めて感じました。
年少組担任
「ふたりで」

更新日 : 2022年3月16日

年少組の劇活動では、取り組みを通して今まで関わりの少なかった子や遊んだ事のない子とも出会い、一緒の役をやったり教え合ったり、関係を深めて欲しいというねらいがあり、保育をしています。
劇活動の中で、1つの出会いがありました。
りす役のR君とS君は、劇の活動で同じ役になるまでは、一緒に遊ぶ事や関わりも少なかった2人でした。最初は、保育者が「S君にも教えてあげてね」等の仲介がないと近づいていくことはありませんでしたが、取り組みが進むにつれて、「こっちだよ!」「一緒にやろう!」等、自分たちだけでも教え合うようになっていました。
そんな中、R君が休みでS君が一人でりす役をやる事になりました。
練習をする前にS君に、
「今日はR君がお休みだけど一人でできそう?」と聞くと、 「できる!」と自信満々の答え。しかし、クラスの皆で劇を通す時、りす役の出番になってもS君は出て来ません。活動が終わって、S君にどうしたのか聞いてみると 「R君とやりたい」と答えが返ってきました。
今までは一人でも誰がいても、自分のやりたい役をやっていたS君でしたが、取り組みを通してR君が大事な存在になっていたことに驚きました。
S君に「明日はR君、来てくれるといいね」と言うと、「うん!ふたりでやる!」。
翌日、R君が来るとS君は喜び、劇活動では2人でりす役をやり通す姿がありました。

保育者の学び 劇活動を通して、相手の存在を知り、教え合ったりセリフを言う、リズムをとるなど同じ事をする事で関わりが深まっていくのだなと2人を見て感じました。
年少組担任
「できるようになった!」

更新日 : 2022年3月16日

劇活動の中には、様々な事を取り組みがあります。例えば、「お客さんに聞こえる声で会話をする」であったり、「物語の筋を理解して、自分の出番が分かる」などがあります。
さらに本園では、各動物にそれぞれの「リズム」があります。
最初に皆でそのリズムに取り組みます。その中にあった一人の女の子の姿です。

キツネ役のリズムはスキップです。 スキップは初めての子もいれば、上の兄姉の姿を見てできるようになっている子など個人差がありました。
その中でYちゃんは、見よう見まねで取り組み始めましたが、ギャロップ(どちらかの足しか先に出ない) になってしまいます。本人も何か違うと感じているようでした。
そこで、できる子にお手本になってもらい、保育者が「こっちの足、こっちの足ってかわりばんこに出すとできるようになるよ」と伝えると、その日はぎこちなく足を左右交代で出していました。
翌日登園したYちゃんが、「先生、キツネのリズムやって(ピアノを弾いて )!」と言いに来ました。やってみると、昨日よりも少しスムーズにスキップが出来るようになっていました。「Yちゃん上手になってるよ!」と伝えると、「お家でもやったの!」と答えてくれました。
数日、そんな様子が続き、遂にスキップができるようになりました。
Yちゃんがたくさん練習していた事を知っている友だちは「上手だね!すごい!」と褒めていました。褒められたYちゃんはとても嬉しそうでした。
いろんな役に取り組んだ後に、お家の人に何の役を見せたいかをYちゃんに聞くと「キツネ!」と即答。理由を聞いてみると「スキップを見て欲しい」。
当日はお父さんに見てもらって、とても満足した様子でした。

保育者の学び できなかった事ができるようになった喜び、達成感を感じ、またそれを先生や同じクラスの友だちに褒めてもらう事で、自信を持ち、次の取り組みへの意欲に繋がっていく事が素晴らしいなと思いました。
また、そんな姿をお家の方に見てもらうという劇活動は、子ども達にとって、とても大きな意味のある行事だったなとYちゃんを見て改めて感じました。
年中組担任
「役回りの自信」

更新日 : 2022年3月16日

今年度は一の星組・二の星組が合同で、劇チームと楽器チームに分かれて取り組みました。
やりたい役や楽器を決め、本番に向けて練習を積み重ねていこうという時に、1週間のお休みとなってしまいました。新しい役を決めて、2日しか練習ができていません。
年中組の涅槃会劇の会の日が決まり、お休み明けの1日しか練習ができない事に不安もありましたが、一の星組・二の星組の子ども達なら大丈夫!できる!という気持ちにもなっていました。
お休み中に家でセリフやリズムの練習をしていたというお話や、感想を頂き、お家の方も協力して下さって、当日を迎える事ができたと思います。本当にありがとうございます。

役決めの時、こんな会話がありました。
いのししかあさんの役が1人(Aちゃん)しかいない……いのししぼうやは2人いる……。 さぁどうしようかと考えている時です。
Aちゃん 「私1人でも、なんとか2人のいのししぼうやの面倒みるよ。両手に一人ずつ手を繋いで、スキップできるから」
保育者 「えっ本当のお母さんみたい!Aちゃん良く考えたね」
そんな声を聞いて、
Bちゃん 「私も、いのししかあさんやってあげるよ」
Cちゃん 「本当はお母さんが見に来る時、オオカミが良かったけど、うさぎが好きだからゆうびんうさぎになるよ」
保育者 「でも、オオカミがいいんだよね。オオカミでもいいよ?」
Cちゃん 「いいよ大丈夫。大きい声で言えるし、うさぎが大好きだから。」
私できる、大きい声でセリフが言える、とそれぞれに自信を持って言う姿が素敵でした。

保育者の学び 毎日の積み重ねの日常があるからこそ、非日常の涅槃会劇の会という大きな行事に自信を持って取り組めるのだと思います。
ぼくはできる!私もできる!と思える子ども達はとても生き生きとしています。
そんな子ども達と練習に取り組むからこそ、お休みが続いてもきっとみんななら大丈夫!と信じて、待てたのだと思います。 来年は月組で、どんな劇のお話を作っていくのでしょうか。楽しみですね♪

年長組担任
「できるよ!」

更新日 : 2022年3月16日

年長組の劇は、8〜9人のチームごとに、子ども達でお話や台詞を考えたり、自分たちで道具を作っていきます。
チームのみんなでアイディアを出し合ったり、認め合ったり、協力しながら練習に取り組んでいます。
本番2日前の劇の練習に取り組んでいた時の、YちゃんとMちゃんのやりとりです。

保育者  「〇〇チーム、劇の練習するよー!」
子ども達は
「〇〇チーム劇の練習するんだって!」「用意しなきゃ 」「〇〇チームの劇、見に行こうよ!」と声をかけ合ったり、劇の準備を始めました。
Yちゃん 「劇の練習行ってくるねー 」
Mちゃん 「いってらっしゃーい!頑張ってねー 」
Yちゃん 「Mちゃん、見に来てね!」
Mちゃん 「うん分かった!Yちゃん、〇〇チームHちゃんお休みだよ?劇できるの?」
Yちゃん 「〇〇チームならできるよ!」
その後、張り切って劇の練習に取り組むYちゃんと、劇の練習を見に来るMちゃんの姿がありました。

保育者の学び Yちゃんの「できるよ!」という言葉や表情は、「自分たちならできる、という自信」、「チームの皆となら協力してやれる」と色々な意味を含めての「できるよ!」だったのではないかと思います。
これまで取り組んできた過程があるからこそ、協力してやってきた仲間を信じたり、自信に繋がっているのだと思います。
実は、私自身もMちゃんと同じように、「〇〇ちゃんがお休みだけど大丈夫かな?劇、できるのかな…」と感じていました。そんな時にYちゃんの「できるよ!」という言葉はとても頼もしく、背中を押されたと同時に子どもを信じる大切さを改めて学びました。
満3歳児クラス担任
「あそびの様子」

更新日 : 2022年2月8日

はしごのブランコで遊んでいたKちゃん。大好きな葉っぱを拾いに、はしごのブランコを下りて園庭に行きました。素敵な葉っぱを持って戻って来ると、はしごのブランコでお友達のYちゃんが遊んでいました。
保育者が
「Kちゃん、今ブランコ乗ってなかったからYちゃんが乗ってるのよ。Yちゃん、Kちゃんが使っているの知らなかったよね」と話しましたが、
K「Kちゃん、葉っぱ取りに行ってたんだもん!これ、Kちゃんが使ってたもん!」
満3歳児は、その場にいなくても自分が使っていたものは気持ちの中でずっと自分のもの。 誰かが使うとは思わず、Kちゃん自身もとても驚いた事でしょう。
しかしYちゃんにとっても、遊んでいたら急に 「ダメだよ!」「Kちゃんが使ってた!」と言われ驚いてしまいます。
どうしていいかわからないYちゃんの目に、涙が溜まってしまいました。
そこで保育者が
「Kちゃん、Yちゃんが乗っているからちょっと待っていてくれる?先生がKちゃんの待っているお部屋を作ってあげるから」とお願いすると、Kちゃんが「いいよ」。
保育者がKちゃんの「特別な場所」の為の縁台を取りに行くと、様子を見ていたお友達たちが走り寄ってきて「私が持って行ってあげる!」「僕も!」と、縁台を運んでくれました。
その後は、Yちゃんがはしごのブランコに乗っている間、Kちゃんは縁台に座って待っていてくれて、次にKちゃんが乗って遊びました。

保育者の学び 幼稚園では子ども達自身、思いもしない出来事が起こります。そんな時、見ていてくれるお友達がいること、手伝いたいと手を差し伸べてくれるお友達がいる事で、皆の体験が豊かになっていると思いました。
年少組担任
「やってくれて、ありがとう」

更新日 : 2022年1月19日

雨の日、子ども達は園庭に出られずお部屋で遊んでいました。
雨が止んできた頃、I君が園庭を見て「S先生だ!あんなところで何やってるんだろう」と口にしました。
一緒に遊んでいたAくんも「なにあれ?」と不思議そうに見ていました。
S先生は雨が止んで子ども達が園庭で遊べるように、水たまりの水を排水溝に流してくれていました。
しばらく2人でS先生の様子を見ていた後、I君が「お水取ってくれてるんじゃない? ありがとうございまーす!」と言ったので、保育者は「S先生に聞こえるように言ってみたら?」と声をかけました。
すると2人はすぐに園庭側のテラスまで走って「S先生ー!お水取ってくれてありがとうございまーす!!」と言いました。2人はS先生の嬉しそうな顔を見て、とってもいい笑顔で戻ってきたのでした。

保育者の学び 普段、保育者は子どもの為に色んな場所で動いています。どうすれば子どもがより楽しく幼稚園で過ごせるか、子どもの為に試行錯誤しながらやっています。
そんな保育者の姿を見て、ただ「先生が何かやってるね」ではなく「何しているんだろう?」とよく見て、「僕たちの為にやってくれているんだ!」と気付き、言葉にしてお礼の気持ちを伝える事ができたI君とA君。とても素敵な力だと感じます。
見えづらいところで、誰かが自分たちの為に動いてくれている事、大人でも気づきにくいものです。その全てを見つける事は難しくても、気付けた時にはきちんと言葉にして相手に伝えようと、改めて2人から学んだできごとでした。
年中組担任
「共に学び、育ち合う子どもたち」

更新日 : 2022年1月19日

同じグループのKくんとSちゃんの事例です。
その日のお当番は、Kくんでした。
Kくんが登園してくると、
S 「Kくん、おはよう!今日、Kくんお当番だよ。昨日お休みしたから分からないよね。
メダルつけてお仕事しよう? 自分でやる? 手伝ってあげようか?」
K 「わかった」
と会話をした後、2人でカメのお仕事をしていました。
別の日……
S 「Kくんおはよう!もう鐘なっちゃったけどお仕事する? やらない? お弁当の後にする?」
K 「おはよう。後でやる」
S 「分かった。じゃあ報告の時、鐘が鳴っちゃったからお弁当食べた後やりますって言うんだよ? 」
K 「わかった」
と会話をしていました。

お弁当を先に食べ終わったSちゃんは、K君が食べ終わるのを待って一緒にカメのお仕事をしていました。

保育者の学び 保育者が声をかけなくても、手伝わなくても、同じグループの友だちが教えてくれたり、一緒に手伝ってくれています。Sちゃんは優しくKくんに寄り添いながら 声をかけ、手伝っています。素晴らしいですよね。
ゆっくり話しかけ、待ってあげられる力が 育っています。
この事例は、Sちゃんが立派で凄いという事ではなく、 保育者はKくんの成長も捉えています。KくんはSちゃんによって、学び、育ち、SちゃんはKくんによって学び、育っているのです。友だちに助けてもらえるKくんは、この先自分でやってみようという気持ちが 芽生え、次には、教えてあげられる子になるでしょう。そうなっていけるように、指導し、見守る事が保育者の役目なのだと思っています。
年長組担任
「友だちの気持ちに寄り添って」

更新日 : 2022年1月19日

チーム対抗でゲームをしていた時の事です。
自分のチームが負けてしまい、泣いているAちゃんがいました。
すると、同じチームの友だちが…
「悔しくて泣いているの?」とAちゃんの気持ちに寄り添ってくれたり、別の子は「次、頑張ろう」「また(ゲーム)やるよ!」と 前向きな声をかけたり、励まし、声をかけ合う姿がありました。
泣いていたAちゃんは、その友達の言葉を聞いて、涙を止め、また張り切ってゲームに参加していきました。

保育者の学び きっと、友だちの言葉に心や気持ちが動かされたのでしょう。
悔しいと思う感情、友だちの気持ちに寄り添ったり、励ましてあげる優しい気持ち…
どの気持ちも素敵です。幼稚園には自分の思いを受け止めてくれる保育者や友だちがたくさんいます。私たち保育者も、子ども一人一人の気持ちを受け止め、 共感したり、一緒に考えていく事を大切に保育しています。
様々な感情があるからこそ、共感したり、時にはぶつかったりする事も出てきます。またそこが集団の良さだと思います。友だちの気持ちを聞いて、同じ気持ちで嬉しい、「そんな考えもあるのか」と新しい発見をしたり、 気付かされたり、友だちの言葉や言動で心が動かされたり、そんな瞬間をこれからも大事にしていきたいと思いました。
満3歳児クラス担任
「僕、全部食べたよ!!」
お弁当を残す事の多かったKくん。
いつもはスッとふたをして、お弁当箱を閉まってしまうのですが……
ある日、からっぽに全部食べる事ができました!そして、保育者やお友達に黙ってお弁当箱を見せに歩き出しました。

「Kくん!全部食べたね♪」
「ピッカピカだねー!」
その言葉に笑顔になるKくん。そのまま席に戻ったのですが、いつもKくんが残している事を知っていたクラスのお友達は、1人また1人とKくんの席に行き、「すごーい!」と拍手をし始めました。
友だちの笑顔と拍手、「ピカピカ―!」の言葉に囲まれたKくんは、今まで見た事のないような笑顔になりました。

その後の片付けも今までよりテキパキと、自信に満ち溢れた表情で行います。
大好きなお母さんが作ってくれたお弁当を全部食べられた事、お友達がたーーっくさん誉めてくれた事、とても嬉しかった様です。 (お母さんも、お弁当の量など悩み工夫して下さっていました)

保育者の学び お弁当を食べる時、「今日パパが作ってくれたの」 「私はママだよ」 「今日のハンバーグはいつもと違うんだよ!」など、たくさんの会話が、満3歳児クラスで聞かれます。
お弁当はお腹が空いたから食べるだけのものではなく、お弁当を通して目の前にいない家族との時間を思い出し、友だちと共に過ごす事のできる素敵な時間なんだと思いました。
お母さん、お父さんの作ってくれたお弁当が子ども達の体と心を育ててくれているんだなぁと温かい気持ちになれた、お弁当の時間でした。
満3歳児クラス担任
「お友達を大好きになる」
満3歳児ちょうちょ組に、入園したばかりの頃は、 みんな保育者を頼りに遊んでいます。
「先生と手を洗いたい」 「雨降ってないね!先生ブランコしよ!」などなど。
そんな生活を積み重ねていたある日の朝、友だちと手を繋いだまま保育者の所にやってきた男の子は
「先生!〇〇ちゃんと手を繋いだよ!」
その一言は、「ぼく大好きなお友達ができたんだ!」と 教えにきてくれた様でした。

保育者の学び 家庭から幼稚園の生活に入り、 お父さん・お母さんから先生へ、そして先生から友だちへ、大きな一歩を踏み出した子どもの笑顔がとても素敵でした。
あまりにも素敵な瞬間だったので、 写真に残したいと急いでカメラを向けた所、 写真が少し苦手な男の子に笑いながら逃げられてしまいました(笑)。翌日もそのお友達と一緒に砂場で遊んでいました♪
満3歳児クラス担任
「自分で靴は脱げるかな?」
朝登園し、部屋の入口で靴を脱がず座っていたRくん。
10月入園の新しいお友達Sくんも、部屋に入らず、靴を履いたまま隣に座っていました。
Sくんは入園から2日目の為、まだ1人では慣れていないかな?と思い……

保育者 「Rくん、Sくんに靴を脱ぐ所を見せてくれる?Rくんがお手本で靴を脱いだら、Sくんも脱げるかも」
R 「うん(にっこり)」
Rくんはさっきまで、園庭の様子をなんとなく見ていたのですが、自分で靴を脱ぎ始めました。

保育者 「Sくん、Rくんみたいに自分で靴ぬげるかな?見てごらん♪」
SくんはじっとRくんを見てから、靴を脱ぎ始めました。

その出来事をSくんのお母さんに伝えると……
「ここ数日ずっと自分で靴を脱いでなかったんです」と、Sくんが友だちを真似て自分で靴を脱いだ事を喜んでくださいました。

保育者の学び お手本役になってくれたRくんも、”誰かに教えてあげた!”という気持ちが自信になったのか、朝の身支度を自分で行い、他のお友達がしまい忘れた園カバンもしまってくれました。
みんなで生活をするという事は、一人ひとりが共に育ち合っていくという事なんだと思います。
年少組担任
「みんな、ぼくがすきみたい」
AくんとMちゃんは保育者とかけっこで遊んでいました。
すると、Aくんが「 Sくんとやりたい」と言い、 Mちゃんも頷いたので、みんなで誘いに行くことにしました。

A・M 「いっしょにあそぼ」
S (照れながら保育者に向かって)「え~、みんなぼくがすきみたい」
保育者 「そうだね、2人ともSくんと遊びたいみたいだね」
A 「だって Sくん足速いから、Sくんといっしょによーいドン!したいんだよ」
S 「そうだよ、Sくん一番速く走れるよ」
M 「Aくんも速く走れるよ」
A 「あそこ!(スタートラインを指指す)」(3人でスタートに向かって走り出す)

保育者の学び 何気ない子ども達の会話ですが、Aくん、Mちゃんに誘われた時、Aくんに足が速いからと言われた時のSくんの返事が素敵だなと思って聞いていました。大人は人からの好意や良い評価に対し、照れくさくなったり、謙遜したりしてしまいがちです。しかし子どもは素直にそのままを受け止め、自己を肯定する力があります。大人になるとなかなか勇気がいる事ですが、私も他者からの言葉を素直に受け止められる人でいたいなと感じます。
年少組担任
「お父さんへのプレゼント」
新小岩幼稚園では、母の日、父の日が近くなると、お母さん、お父さんにプレゼントを幼稚園で作って渡します。年少組の子ども達は例年、お父さんに自分の手形を押したTシャツをプレゼントしています。

やりたい子から手に布用絵具を塗ってもらい作っているのですが、その中で手に絵具を塗ることに苦手意識がある子がいました。
保育者が「〇〇くんもやってみる?」と声をかけると、「やらな~い!」といってその場を離れていきます。
数日間様子を見ましたが、本人のペースで取り組んだ方が良いと思い、お母さんにもお話してしばらく様子を見る事にしました。

1か月が経ち、幼稚園の生活に慣れ、自分のやりたい遊びを見つけたり、一緒に遊びたい友だちにも出会ったり、リズム活動や製作活動の体験を重ね、7月の下旬、1学期最後の日になりました。
〇〇くんに、「明日から夏休みで今日が最後の幼稚園の日なんだけど、お父さんのプレゼント作ってみる?」と聞いてみると、「やる!」と返答がありました。今まで「やらない!」の一点張りだったのが、はっきりと「やる!」と言う姿にとても驚きました。
実際に絵具を手に塗ってみると「きもちいい!」「くすぐったい!」と笑っていました。
出来上がったTシャツを保育室に飾っていると、それを見た他の子達も「〇〇くん出来たね!上手!」と褒めてくれました。それを聞いて「早くお家に持って帰りたい!」と本人も嬉しそうな表情をしていました。
保育者がその手形に少し手を加え、園で飼育しているニワトリにデザインしたものを、〇〇くんは持って帰りました。
大事そうにTシャツの入った袋を持つ子の姿が印象的でした。

保育者の学び この子の姿を見て、子どもが出来なかった事を出来るようになる為には、たくさんの体験を重ね、たくさんの「できた!」という手ごたえを得ることが、他の活動に対しても「やってみよう!」という意欲に繋がっていくのだなと感じました。
また、今の子どもの気持ちを尊重することと時機を見計らう事の大切さも学びました。
子ども達がたくさんの「出来た自分」と出会えるように支えていきたいです。
年中組担任
「大丈夫!できるよ」
6月に歯科検診がありました。その日、子ども達に、お弁当を食べた後に歯科検診がある事を伝えました。みんながお弁当を食べ始めた頃、Rちゃんが泣いていました。

保育者 「Rちゃん、どうしたの?」
Rちゃん 「……」
保育者 「Rちゃん、歯医者さん怖くて泣いているのかな?」
Rちゃん (泣きながら頷く)
保育者 「大丈夫だよ。歯医者さん、痛いことや怖いことしないから。ちょっと見るだけだから大丈夫 。」

Rちゃんは、歯科検診が怖くて泣いていたのです。保育者はRちゃんの気持ちを受け止めながら、安心できるように声をかけていましたが、Rちゃんの涙は止まりません。
すると、お弁当を食べ終わったKちゃんが、Rちゃんの近くにやってきました。

Kちゃん 「Rちゃん、どうしたの?」
保育者 「歯医者さんが少し怖くて、涙が出ちゃったみたい」
Kちゃん (Rちゃんの近くに寄って)「大丈夫だよ!Rちゃんならできる!」
そこからRちゃんの涙は少しずつ止まり、歯科検診も泣かずに一人で受けることができました。

保育者の学び 歯科検診が怖くて泣いていたRちゃんの気持ちは、大人も子どもも分かります。その気持ちを受けて「大丈夫だよ。」と寄り添い、「 Rちゃんならできる!」というKちゃんの言葉が、Rちゃんの心に響き、泣かないで歯科検診を受ける事ができたのだと思います。
子どもの言葉の力は、凄いなと改めて感じました。子どもたち同士の関わりや言葉が、刺激になっていたり、自信に繋がっている事がたくさんあるのだと思い、大切にしていきたいと感じています。
年中組担任
「5歳になるまでに」
4歳から1つ大きくなって、5歳になる年中組。子ども達は自分の誕生日を楽しみにしています。
幼稚園では、月末に、その月のお誕生日の子をクラスみんなでお祝いしています。お誕生日の歌を歌ったり、グループの友だちと沢山のお菓子を同じ数になるように分けたりしています。
そして、お誕生日の子に、自分の名前と何歳になったのかを聞いていきます。
「〇〇〇〇です。5歳になりました」
みんなしっかりとした、大きな声で教えてくれます。
もうひとつ、「年中組、5歳になって出来るようになった事はありますか?」と聞いています。
「大縄跳びが跳べるようになりました!」「鉄棒で前回りが出来ます!」など、出来るようになった事を教えてくれます。
ある日の自由時間、Sくんが広告紙で剣を作りながら、こんな事を呟いていました。
「S 、5歳になって出来るようになった事で、細い剣が作れるようになりましたって言えるかな」
そう言って、何度もやり直しながら細い剣を作っていました。

保育者の学び まだ5歳になっていないSくんは、自分の誕生会の時に「細い剣が作れるようになりました」と言いたい目標を持っているのかなと感じました。
4歳のSくんが、自分で見つけた目標です。今はまだ、「先生、一緒に作ろう。手伝って」と言っているSくんですが、Sくんの5歳の誕生会には、「細い剣が作れるようになりました!」と言えるよう、一緒にたくさん細い剣を作っていきたいと思いました。

また、「先生のお誕生日もお祝いしよう!」と私が誕生月の時、クラスのみんなが歌を歌ってお祝いしてくれました。
「先生は何が出来るようになったの?」と子ども達から聞かれた時、困ってしまいました。何も出来るようになっていないかも…と、思い浮かばなかったのです。必死に出た言葉が、「おいしいお肉の料理が作れるようになりました」。ローストビーフを作って、家族が美味しいと褒めてくれた事をなんとか思い出したのです。
子どもには敵わない、と感じた出来事でした。
いつも子どもに教えてもらい、子どもに学んでいます。そんな毎日はとても楽しいです。
年長組担任 「遊びの中で」
A 「警察ごっこしようよ」
B 「じゃあ警察と泥棒に分かれよ!警察がいいひとー?泥棒がいいひとー?」
  (ほとんどの子が泥棒に手を挙げる) C 「警察が少ないね…」
A 「これだと泥棒だらけになっちゃうよ」
C 「8人いるから、4人と4人に分かれたらいいんじゃない?」
B 「いいねー!」
A 「どうやって決める?」
B 「そしたら、じゃんけんで決めるのは?」
子ども達 「いいよー!!」

保育者の学び 自分の思いを伝えたり、相手の言葉を聞いて、受けたり、時にはぶつかったりしながらも、子ども同士で楽しそうに遊びを展開している姿が見られました。自分と相手の思いが合った楽しさや喜びを感じたり、違う考えの人に出会う事で新しい発見をしたり、時には友だちや保育者と一緒にどうしたらいいのか考えていったり……。 子ども達は実際に体験しながら友だちとの関わりの楽しさを感じ、学んでいるのだと思いました。
年長組担任 「挑戦する力!」
子どもと日々過ごす中で、子ども達の言葉で嬉しい気持ちになったり、ハッと気付かされる事があります。この瞬間に出会えると保育をしていて良かったと思えます。
クラスの集会で、4月に転入してきた子がみんなの前で縄跳びやお休み調べをした時の事です。
初めてだったけれども、頑張った姿に感動し、かっこよかった事を伝えていると、見ている子が「挑戦する力があるってことだね!」という言葉をかけてくれました。そしてそれに共感して拍手をしてくれる周りの子もいました。

保育者の学び “挑戦する力”という言葉が子ども達から出てきた事に驚きと嬉しさがありました。
そして、年長組になり、今までの生活の中でうまくいかない事や、頑張った事、やってみたら出来た事を体験してきたんだなと思いました。
また、子どもたちが友だちが頑張っているところや良いところを見つけているように、私も子ども達の素敵な所を言葉で伝えていきながら、子ども達の育ちに寄り添っていきたいと感じました。
あそびの会(プレ幼稚園)担当
「大好きなお母さんのまなざしがあっての成長」
あそびの会の園庭遊びの時間にアスレチックをしていた男の子。
幼稚園のアスレチックは、楽しいけれど階段を下りるところや坂道が少し怖くて、途中から保育者と一緒に、足を震わせながらも何度も上がっては下りてを楽しみました。
その様子をお母さんは「大丈夫」と声をかけたり、目が合うと手を振るなど、笑顔でじっと見つめてくれていました。転ばないか?などの心配もあったと思います。
帰りの時間になる頃には、男の子の表情に自信が満ち溢れるほどの変化がありました。
数日後、お母さんから、「幼稚園に来てアスレチックで遊んだ後、別の日に公園に行ったら、今までやらなかったアスレチックに自分から挑戦していました。すごいですね。一日で変わるんですね。本当に驚きました!」と嬉しいご報告。

保育者の学び 一生懸命にアスレチックに取り組んで、自信をつけ、新たなアスレチックに挑戦した男の子は素晴らしいと思います。
同じくらい、保育者とアスレチックをしている間、ずっと見守り手を振ってくれたお母さんの優しいまなざしと、いつも見つめているからこそ、お母さんがお子さんの変化をしっかり見つけて、成長を喜ぶことができる事も素晴らしいと思いました。
親御さんが当たり前のようにしているかもしれない事が、実は成長を後押ししているのだなと思いました。
満3歳児クラス(ちょうちょ組)担任
「おいしい」に詰まった気持ち
お弁当の食べ始め、先生(以降T)がクラスの子に水筒のお茶を入れて回っていると

S 「せんせいー!」
T 「なぁに?Sちゃん」(手を止めて返事する)
S 「せんせいー!せんせーい!
T 「どうしたの?」(再び手を止めてSの方を向くが返事なし)
S 「せんせいー!せんせーい!」
  何か直接話したいか?困った事でもあったのか?と思い
T 「Sちゃん、ちょっと待っててね。今〇〇ちゃんのお茶いれてるからね
  ……はい、お待たせ。どうしたの?」(Sの所に行きしゃがむ)
S 「おいしーーい!!」(笑顔)
T 「あー、お母さんの作ってくれたお弁当が美味しかったのね。良かったね!
  Sちゃん、みかんも入れてくれたのね!」
S 「うん!」(笑顔)
T 「教えてくれてありがとね」

保育者の学び 「おいしい」とたった一言だけれど、たくさんの思いが詰まった一言。
近くに来てもらって伝えたかった彼の気持ちを受け止め、感じ取ってあげられるように、一言一言の会話を大切にしたいと思いました。
満3歳児クラス(ちょうちょ組)担任
「してくれた」
お友だちとお弁当を食べながら「おいしいね」「ママが作ってくれた」など話していた子ども達。

Y 「先生、ぼく、いつもたまごが入ってるんだよ!ぼく、たまご好きだからママがいつも入れてくれるの!」
T 「そっかぁ!ママいつもたまご入れてくれるんだね」
Y 「うん!ママ作ってくれたんだぁー!」
T 「良かったね、ママがお弁当作ってくれて、優しいね」
Y 「うん!」

保育者の学び 毎日のママの頑張りや、自分の事を思ってくれていることを、子どもは感じながら生活しているんだなぁと感じました。
大人は「~してくれない」という事に目が向きやすくなってしまいますが、「~してくれた」という事をしっかり日常の中で感じられるような人でありたい。人と人が助け合って生きているつながりを感じる心を持ちたいなぁと考えさせられました。
年少組担任
「できない!やって!」
新小岩幼稚園では同じ机に座っている友だちと順番に当番活動をします。その時の手がかりとして、当番はメダルをつけています。

Aくん 「先生、できない!やって!」
保育者 「いいよ!一緒にやってみよう!」

Aくんは、まだ自分でメダルをつけることが難しいようです。なので、メダルを持ったらすぐに「先生、やって」と声をかけています。それを受けて、保育者はただやってあげるのではなく、自分でつけることができるようになって欲しいという思いで、一緒に取り組んだり、教えたりしながら関わっていました。
そんなやりとりをしている姿をしっかり見ていたのでしょうか。ある日、同じ机に座っているBくんが……

Aくん 「先生、できない!やって!」
Bくん 「Aくん、ぼくできるよ。やってあげる!」
その日は先生ではなく、Bくんが当番のメダルをつけてあげていました。

すると、Aくんの心境の変化が……
次にAくんが当番でメダルをつける日がやってきました。

Aくん 「先生、自分でやってみる!」
と言って、自分で当番メダルをつけようと挑戦していました。

保育者の学び 今までは、すぐに先生に「やって」と言っていたAくんから、「自分でやってみる!」という言葉を聞いて、嬉しく思いました。どうして、自分でやってみようという気持ちになったのでしょうか?
先生にやってもらうのではなく、友だちであるBくんにやってもらう体験をして、友だちに助けてもらった嬉しさと同時に、自分でもできるかも、と少し気持ちに変化があったのではないかと思います。
子ども同士の関わりはこのような刺激にもなり、お互いに成長し合うきっかけにもなるのだと学びました。
ついつい、子どもが困っているとやってあげたり、教えてあげたりしようと思ってしまいますが、一歩引いて子ども同士の関わりを見守っていこうと思いました。

その後、Aくんは「自分でやる!」と繰り返し挑戦し、今では「自分でできる」に自信を持って当番メダルをつけています。
年少組担任 「おはよう」のできごと
園での1日の最初の挨拶、『おはよう』の言葉を大切にしています。
朝、気持ち良く目覚めたかな、朝ご飯は食べたかな、幼稚園を楽しみにして来たのかな?
子ども一人ひとり、朝の時間の過ごし方が違うので、どんな気持ちで登園して来ても、園では温かい『おはよう』と笑顔で迎えてあげたいのです。
「おはよう」と自分から挨拶してくれる子もいますし、こちらが挨拶をしても返ってこないこともありますが、毎日、声をかけ続けます。
2月初めの寒い日、ジャンバーのポケットに手を入れてトボトボと門から入ってくる子がいました。「あっ、今日は何かあったな…」とすぐにわかりました。
たまたま門の近くにいた私は「おはよう」と両手を広げてその子を受け止め抱きしめました。すると、その子は大きな声で泣き出したのです。
背中をトントンしながら、話を聞くと「朝、ママに怒られちゃった」とのこと。「先生と一緒にお部屋まで行こうね」と手を繋ぐと泣きやみ、一緒に教室まで歩きました。
朝、悲しい気持ちを抱えて幼稚園に来たけれど、先生とふれあうことで安心して気持ちがゆるんだのでしょうか。

保育者の学び 心を許せる環境や信頼できる人がそばにいなければ、子どもたちは不安で前に進めません。大きくなりたい、成長したい思いがあっても自信を持って一歩を踏み出すことができないように思います。失敗してもいい、不安になったら後戻りしてでも、一歩を踏み出して欲しい。そう思い続け、保育をしていくと必ず子どもが変わっていくことを学んでいます。
子どもに学ぶことができる喜びに毎日感謝しています。
年中組担任 「どうしたの?」
K (亀のお世話をしている)「こわ〜い」
H (たまたまKの近くを通った)「どうしたの?」
K 「亀さん抱っこできないの」
H 「H、抱っこできるよ!手伝ってあげようか?」
K 「うん!ありがとう!」

保育者の学び 日々の生活の中で、困っている子や泣いている子がいた時に「どうしたの?」「大丈夫?」と声をかける優しい子ども達の姿がたくさん見られます。
大人になると困ってる人や落ち込んでいる人がいた時に、どんな言葉をかけたらいいのか悩んだり、時には躊躇してしまったりと、中々子供のようにすぐ声をかけたり行動できないことがあります。
相手の気持ちに寄り添い、声をかけ、行動できる子どもは改めて素敵だなと感じます。この子どもの〝優しさ〟や〝思いやり〟をこれからも大事にし、見守っていきたいです。
年中組担任 「発見!!」
H (ツリーブランコに乗っている)
H 「先生〜!初めて上まで登ったんだ!」
先生 「挑戦したんだね!すごいね!」
H 「上からみるとこんな風に見えるのか〜」
先生 「どんな風に見えるの?」
H 「みんなが小さく見える!あとね、風が気持ちいい!!」

保育者の学び 初めて階段ブランコに挑戦し、体験して感じたことを教えてくれたH君。
高い所から見る景色、ブランコをこいで感じた気持ちよい風……。子どもは体験を通して全身でたくさんのことを感じ、吸収しているのだと改めて学びました。
年長組担任 「ピカピカの泥団子」
子どもたちの好きな遊びの一つに砂遊びがあります。
新小岩幼稚園には砂場が2つあり、自由時間になると「こっちの砂場で遊ぼう!」と子どもたち同士や先生も一緒に遊んでいます。
幼稚園で一番、年上の年長さんは砂場で泥団子づくりをするのが大好きです。
初めのうちはすぐに崩れてしまっていましたが、「水がもっと必要だね!」「もっと固めないと!」と子どもたち同士で試行錯誤している姿がありました。
「明日はもっと大きくしたいから割れない場所に隠そう」と各々が大事に保管できる場所を探して隠していました。
翌日も、幼稚園に来るとすぐに泥団子作りです。

A 「今日はもっと大きくする」
K 「僕も!じゃあ水持ってくるね!」
Y 「白砂も集めるね!」
  (しばらく集中してそれぞれ泥団子作り)
A (作っていた泥団子が割れてしまった)「あー!」
K 「大丈夫だよ!また作ればいいよ!」
A 「うん。もう一回作る」

保育者の学び ただ遊んでいるのではなく、5、6歳になってくると、どうしたらいいのかを自分で考え試行錯誤を繰り返したり、友だちと教え合ったり、協力して作り上げることに達成感を感じています。
またある時は、そばにいる年下の子が団子を作っていてうまくいかないと、優しく教えてあげる様子も見られました。
遊びを通して毎日子どもたちが成長する姿をみて、子どもたちの遊びや生活をもっともっと充実させてあげたいと、改めて感じています。
年長組担任 「天狗と友だちになりたい!」
新小岩幼稚園では年長組になると、千葉県市原市にある弘願舎に合宿(お泊まり保育)や遠足に行きます。
弘願舎の周りの森を散歩する時に、子どもたちの想像力を膨らませて楽しんでもらえるよう天狗やカッパの話をします。
「天狗に会ったら一緒に修行したいな」「一緒に空飛びたい」「でもかくれみの使って見えなかったらどうしよう」「カッパはきゅうり食べているかなぁ」と期待に胸を踊らせながら皆で森の中を散歩します。

K (お酒が好きな天狗の為に家からお酒を持ってきました)天狗に会ったら飲んでもらうんだ!それで修行する!
A 今日はかくれみの着て見えないから、置いておくと皆がいなくなったらお酒飲むんじゃないかな
K そっかー。じゃあ置いておこうかな(天狗がいるかもしれない木の側にお酒を置く)
~しばらくして~
K あ~、天狗に会いたかったな~。友だちになりたかったな~。お酒飲んでいるかな~。
先生 (風がビューと吹いてきて)あ、少し風が吹いてきたね。
B もしかして天狗がお酒を飲んで喜んでいるんじゃない?
C Kくんが友だちになりたいっていうのを聞いて探しに来たのかもね!
K (照れた様子で嬉しそうに笑っていました!)

保育者の学び 友だちの言葉を聞いて嬉しそうにしていたK君の表情がとても印象的でした。
本や話し合いで持った天狗のイメージと実際に散歩をしている中で感じたことが合わさって、さらに子どもたちの発想や想像力が豊かになったようでした。
友だちの思いに耳を傾けたり共感したり、自分なりに考えたり……。子どもたちの様々な姿に成長を感じました。そして、子どもの思いを知っていきたい、思いを共感していきたいと感じ、また人と関わっていくことの楽しさや大切さを子どもたちの姿をみて考えさせられました。